2010年10月26日火曜日

生物多様性交流フェア

アルビレックス新潟がアウェーでFC東京と戦った10月23日、午後予定のできた私は東京行きを諦め、午前中床屋へ行った。
私の行きつけの床屋は少し離れたところ、地下鉄では名港戦日比野駅の近くにある。近くには中央卸売市場があり、鮮魚等が安く買えたりするため、床屋の後はそこへ寄ることが多いのだが、その日はやはり最寄り駅が日比野である名古屋国際会議場で行われているCOP10の会場付近へ行ってきた。
各国政府の責任あるお歴々が集まって会議を行っている名古屋国際会議場にはもちろん入ることはできない。
しかし、国益をバックになかなか話のまとまらない会議を尻目に、周辺の白鳥公園熱田神宮公園では主として民間レベルでの生物多様性交流フェアが行われていた。
そこでは企業や国、自治体、ボランティア組織などが大小のブースを構え、それぞれの活動をアピールしていた。
私はまず名古屋国際会議場のある白鳥公園へ行った。
 
1:会場入口~ここからスタートだ。
2:トキのパネル~新潟県の取り組みも紹介されていた。(後述)
3:タイのブース~王女を初め、王室、国あげて取り組むタイ。花で飾り付けられてたブースは恐らく最も華やか。
4:休憩所~一休み。食べる人、ダベる人、飲む人・・・
5:討論~もしかすると国際会議場で行われている討論よりもっと実のあるものかもしれない。ここでの共通語は英語。
6:東大のブース~地味ながらしっかり身に付いた研究は子供達にも注目されていた。(後述)
休日とあって、会場は結構多くの人で溢れていた。私は一通り回ってきた。全部で3~4時間はかかるのだろうが、私は用事があるため2時間半くらいしかいることができなかった。それでも私は200以上のブースを 時にブラブラしながら、時に駆け足で巡った。
1.科学技術振興機構(JST)
 入口から少し入ったところにJSTのブースはあった。昨年の「行政刷新会議」で科学のカの字も知らないようなオバチャンたちから事業仕分けの対象にされ、存亡の危機に直面したJSTであるが、どっこい、しっかりと息づいていた。
 「JSTてiP細胞とか半導体とか細かいことばかりやっていると思っていたら、こんなこともしてるんですね。」
 「そうですよ。熱帯の国なんかと共同で地域の生態保全なんかもやっているんです。」
最先端の科学技術の発展をサポートするとともに、こういった事業を手掛けたり小中学生に科学に興味を持ってもらうための試みなど幅広く活動している様子がアピールされていた。
 
パネルを見れば誰でも解けるクイズに全問正解して贈られたJSTロゴ入りのエコバッグ
2.東京大学大学院(上の写真 6 )
東大のある研究室が東京都下300余名の「市民科学者」(愛好家)とともにチョウの分布を調査し、まとめていた。市街地でスジグロシロチョウがみられたり、地球温暖化の影響でツマグロヒョウモンが分布の範囲を北上させている状況などが明かにされていた。その他に多く見られるチョウとしてはアオスジアゲハイチモンジセセリなどが挙げられ、標本も展示されていた。
 「東大構内だとゴマダラチョウなんかたくさん見られるじゃないですか。」
 「そうですけど、このデータは東京全域からのものなので、全域をみると、ここに出したようなチョウになるんです。」
私が先日のクロコノマチョウの話をするととても興味をもってくれた。東京でもクロコノマチョウ、もっと暖地生のウスイロコノマチョウの記録もあるようだ。
地味ではあるが、天下の東大が本当の意味で地に足のついた調査研究を行うのは影響力もあり、頼もしく思った。
  
東大のチラシ(A4版)
3.新潟県
白鳥公園の横を流れる堀川に掛かる橋を渡るとそこは熱田神宮公園だ。ここではいくつかの自治体もブースを出していた。私は新潟県を覗いた。
新潟は何と言ってもトキだ。
派遣されている県の職員は1日1名だけだそうだ。ここの目玉は額に入って直接は触れることができないものの、トキの羽だ。これを目当てに訪れる人が多かった。まさにトキ色の羽だ。
ついでに「新潟のうまいもの」なんてパンフも置いてあったが、これは余分だろう。
 「この際ってのは悪乗りじゃない?」
 「いや~、もっと色々PRしてこいっていう話もあったんですけど、今回は主旨が違うからということでこの程度にしたんです。」
なるほど。
 ついでに、「私は本当は今日、味スタへFC東京戦の応援に行く予定だったんですよ。午後チョットした予定ができ、仕方なくこの近くの床屋へ来たので寄りましたよ。」と言うと、「いやー、私は日曜の名古屋戦、スワンにいましたよ。よかったですワ。」と返してくれた。
  新潟県トキ保護募金推進委員会パンフレット
4.その他
オーストラリア日本野生動物保護教育財団のブースではブリスベーンのコアラ病院でボランティア活動をしているお嬢さんがオーストラリアにおける生物多様性保全の動きを熱っぽく説明してくれた。オーストラリアの有袋類などに関するクイズ10問中8問正解し、賞品のボールペンをもらった。

EUからも出展し、生物多様性に関わるEUの取り組みを紹介していたが、私はEUと言っても各国の利権が交差する中でどうやってEUとしての姿勢を打ち出すのが疑問に思った。しかし、それを聞くのは控えた。
この催しも今週金曜日までだ。もう1回ぐらい行ってもよかったかなと思っている。
国際会議場で行われている本会議とは全く次元の違う話かもしれないが、このフェアの参加者たちの方が余程真面目に生物多様性と向かい合っていると感じた。

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